HOME > ナレーターたちの物語 > 声優ミゼラブル > 第5幕・ガンバルジャン「とびばこの章」

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声優ミゼラブル5話・ナレーターメルマガ

2008年10月09日 ナレーターメルマガ95号より転載

優先されているキャスティングがあるのではないか?!

声優養成所・キャスティングなど・ガンバルジャン声業界に憧れ幾度かの遠回りをへて入った「パッポンプラ事務所」付属養成所に通う日々…
そんな私たち生徒の前に2年間の集大成卒業公演』というものがやってきました。

そこで生徒間でまことしやかに起こった噂。
それは「合格を優先されているキャスティングがあるのではないか?!」というもの。

事務所付属の養成所だというのに、オーディション前にマネージャーに見てもらえるのは二年間でただ一度。そのチャンスで目立ってアピールしたいのにそのチャンスをもらえないでは、なんと無情でありましょうか。
小川に流される落ち葉のような私たち生徒は、そのつど激流のような噂に翻弄されては疑心暗鬼に駆られるという状況。

不安定さに募るイラだちは、優先キャスティング(だとされる)同級生へ向けられる。マイク前にたちたいと思ってきた養成所で、先のみえない舞台の練習…そして、ねたみとそねみと不安と優越感のちゃんこ鍋のごとき煮え煮えの稽古風景…

『俺、何しにここへきたんだっけ…』

だが運命の激流の前に足を止めるわけにもいかなかったのです。

2年の養成所生活はいったい何だったんだ

そんな舞台裏にのみ火花散った卒公がなんとか終わると、『ジュニアオーディション』が待っているわけです。『ここで受かれば夢にまでみた悲願の事務所所属!落ちれば奈落のフリーター!敗者復活なしのガチンコ一本勝負!』という、まさに大貧民あと数歩のところで「革命カード!」のごとき、うーん先生の評価に一喜一憂したり、噂に振り回されたり、そんな2年の養成所生活はいったい何だったんだと言いたくなる、一歩間違えれば恐ろしい人生リセットボタン。

スタジオに行き、自分の順番を待つ。この待ち時間の長いこと。1枚の原稿を持つ手が汗ばむ。実技を先に終えた人間が半べそで帰ってくる。それをみた皆の緊張はさらに倍。たくさんの人がいるのに、無言のロビー。
ついに自分の番。

そのあと何があったのか、あまりの緊張に全く憶えていません。ただ、なぜか打ちひしがれていた…。

安住のオアシスを見つけた気持に

そして一週間後。
ペラッペラの封筒に……ジュニア合格。合格?!まさに飛び上がりました!!
結果的に「優先キャスティング」はただの噂にすぎませんでした。

そして初めて会う社長の訓示は「若手をしっかり育てていきます」という内容だった。ああ、なんて素晴らしい事務所!入れて良かった。まさに薔薇色の人生へまっしぐら!みたいな・・・。この数年の放浪の旅に安住のオアシスを見つけた気持ちになったのでした。

ともに合格した仲間と、「初仕事はいつごろになるのかな~」「明日や明後日くらいには事務所から電話が来たりして・・・」はち切れそうな期待で語り合う友人達の顔は、みな笑顔でした。

それから半年。
誰の電話も鳴りませんでした。

私達はようやく悟ることになったのです

私達はようやく悟ることになったのです。
船底の重労働のように暗い中で、仲間割れなどしつつ一喜一憂してすごしていた2年間。その間に、私たち養成所組をばんばん飛び越えていた輩がいたことを。

それとは「ひきこもりだったけど、有名声優の紹介で事務所入れちゃった!わはは。人生ってカンタンじゃねーーー?などとぬかす輩だ。
そいつは審査もなしにシレ~っと事務所に横入りしたあげく、あろうことか仕事までこなしていたのだ!

『ああ無情』
恵みの雨がしずくとなって船底に落ちる前に、甲板の上ではさんさんと日が当たり、雨は乾いていた。
そんな情景に思えました。

花よ蝶よとおだてられ
咲いてみせればまた散らされる…

次週、夢にまでみたジュニアの生活が明らかに。
『第3幕・ジュニアの夜と霧
待て。しかして希望せよ。

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ヒッキー

声優とナレーターを両立・ヒッキー引きこもりから抜け出し、声優からナレーターになった男。
現在ではドキュメンタリーや番組のレギュラーナレーション、声優としては大ヒット作に出演するなどみごと社会復帰を果たした。

ガンバルジャン

声優ジュニアからナレーターに・ガンバルジャン夢にまで見た声優ジュニアは、まるで「レ・ミゼラブル(ああ無情)」な世界だった…。ナレーションを学ぶことで番組レギュラーをもち、社会復帰に至った、男泣きナレーター。