2007年10月4日 ナレーターメルマガ62号より転載

憧れの老ナレーターと一緒に仕事がしたい!を合い言葉に、ナレーターを目指す亀子は、数々の修羅場を経て、「一度も売れたことがないのに大手事務所3社に所属」という快挙を成し遂げ、ぎりぎりの所で”ナレーター業界”に生きていた。
だが亀子の不幸の星はますます輝きを増し、最後の大手事務所「小熊気分」でもいよいよ満身創痍となるのであった…

そして今!

あまりに真実に近づきすぎたため一時やむなく連載を休止していた亀子の物語が、終幕にむかって再び始動する。
だが物語はここで、軌道修正せざるを得ないことをお許しいただきたい!

亀子の未来を鑑た時、筆者の選べる道は…一つしかない!

…この壮大な「物語」の中から真実を導きだす作業は賢明なる読者諸兄それぞれの手に委ねられた。それでは終局にむかう亀子の残照を思う存分堪能してほしい!

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謎配 かつて亀子さんが身を寄せていた講談研究会「チョベリバ!」での混乱があって、それから亀子さんは「チョベリバ!」を脱退しますよね。その時にはすでに亀子さんはチョベリバ主催者で小熊気分の大物ナレーター太田巻庄助師匠の口ききで小熊気分に所属されていたので、これから、ナレーターだけで生きていくことになった訳ですが…

亀子 小熊気分に所属ていうても、小熊のマネージャーさんたちは太田巻師匠の顔をたててくれはっただけなんやと思う。だから小熊にいるからといって、所属後、半年はほとんど仕事もまわってこなくて。自分でとってきた仕事でなんとか食いつないでいた状態おす。

謎配 特に亀子さんが小熊気分に潜り込んだその時期はもう一つの部門「サーカス雑技部門」にめっちゃ本腰を入れてた時期ですよね。サーカス芸ができるか、ナレーターとして売れている人以外は、戦々恐々としていたとか。

亀子 ウチ、見てくれも悪いし、キラびやかなサーカスの舞台には向いておまへん。かといって、小熊のホームページにボイスサンプル載せてるだけでナレーションの仕事がくる訳もおまへん。何もしなければ、次に肩を叩かれるのはウチおす。世の中の冷たさが骨身に染みてました
そんな中、本当に久しぶりに事務所から一本の仕事が舞い込んできたんおす。
単発やったけど、ちょっと有名な会社のテレビCMの仕事。これはギャラは普通やったけど、ネームバリューのある「良い仕事」やった。

謎配 おお!助かった!

亀子 「首の皮一枚で助かった!」思うてね。たった一行しかない原稿やったけど、ちゃんとやれば次につながって、小熊に居させてもらえるかもしれへん。そう思うて、どんな読みがきても対応できるように本番まで毎晩、練習して。
収録当日。ウチが「もうすぐ仕事やがな…」てドキドキしながら家で発声練習してたら電話が鳴るやおまへんか。電話出たらマネージャーがごっつ怒気を含んだ声で『亀子さん、アンタ一体どこでなにしてんの?!』と。

謎配 え?

亀子 『収録は”13時から”て言ったじゃない!』と。
ウチやってもうた!!舞い上がって13時を「午後3時」と間違えてたんよ。

謎配 えーッ!!

亀子 大急ぎで現場に走った。化粧もなかばに、泣きながら。なんとか20分くらいでスタジオに到着して。
バーン!てドア開けたら、スポンサーやら、もっと偉いスポンサーやら、ズラ-っと、勢揃いしててね。もうすでに一時間半くらいウチ待ちしてはって。

謎配 CMの収録って様々あるらしいですけど、早いものだと15分くらいで終わるものもあるらしいじゃないですか。それを一時間半待ちですか?うわぁ怖い~(><)

亀子 だからウチ、誰とも喋らんで、逃げるようにブースに入ってね。とにかく謝るより先に作業を終わらせることや!と思って、汗も吹かずに、いつも通り喋る準備をしたんよ。クツを脱いで、ベルトとって、ズボンのチャックを開けて、水を一口かぶっと飲んだら『お願いしまーす!』
ウチも追いつめられてたから、良いプレイが出たんかな。収録はサラーっと2分で終わってね。「はーいオッケーでーす」の声が聞こえた瞬間、ウチブースから飛び出して『本日は大変申し訳ありませんでしたーっ!!』って謝ろうと思ったんやけど…

謎配 思ったけど?

亀子 向こうからしたら、汗と涙でめちゃめちゃ怖い顔で髪を振り乱しながら、ズボンのチャックぱっか~んと空けた女が「パンツ丸出し」で、ブースから飛び出てきた訳で。

謎配 亀子さーん(;´д⊂)

亀子 みんながウチのあまりの姿に、あんまりドン引きしたもんやから、ウチもつい謝罪の言葉が、瞬間出てこなくなってしまって。
空気に呑まれてウチがモジモジしてる間にマネージャーが「亀子さんっ!出、出ましょうここは!ねっ!」って止めに入って。結局、最後まで笑いもなく。

謎配 ああああ。せっかくのCMが…

亀子 確実に二度はおまへんな…ウチは日本一不幸な少女や…

清水の舞台から飛び降りるのではなく、転落してしまった亀子!逃したCMはあまりに大きな魚影であった!!世の中、事務所、番組スタッフ、そして己自身…もはや絶望の淵をさまよう亀子に手を差し伸べることのできる者はいないのか!

否!である。

次回亀子の前に、満を持してこの世でたった一人、亀子を救う「最後の旦はん」が現れる!その男は、運命を奏でながら、亀子の涙を背で受けるのだ…!
さあ亀子の明日はどっちだ?!亀子昇天の日まで、あと少し…。

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