2006年10月19日 ナレーターメルマガ27号より転載

テレビ局,ナレーター新番組の名前は「ニュースZERO」ナレーター業界ではめずらしいオープンなオーディション。数百人の中から、決まるナレーターは3人~4人。まさに針に穴を通す確率だ。その中で、いかに勝つ確率を高めることが出来るか、それがマネージメントなのだ。頑張って!大丈夫!などと根拠なく言うマネージャーの言葉は、何の付加価値も生み出さない。マネージャーは、プレーヤーに最高の環境を作り出し、プレーヤーはそれに答える。この両輪が動いて初めて、最高の結果が生まれるのだ。

大窓王からのダメだし、それは今考えると、まさに的を射ている内容だった。
 ・クリエィティブなサンプルを作れ!
 ・その為の準備をしろ!
 ・作り手の意図を考えろ!
 ・キャスティングは慎重に!

上げて行ったら切りがないほど、多くの変更、改善の指示が下った。
通常のボイスサンプルだと、原稿も、読みも曲も異なるので、いかにクリエィティブにサンプルを作るかと言う事を考えるのだが、今回は先方からの原稿指定と言うほとんどない形式のオーディションのため、頭が思考停止していた。だから漠然とスタジオにナレーターを呼んで、収録をするつもりでだったのだ。


FAXで送られて来た文章をもう一度読み返してみた。

『いままでにない、新しい報道を目指す!』
『20、30代の若者をターゲットにしたPOPな報道!』
『しっかり読める事は前提だが、声優、ラジオDJなどの新鮮な人材も募集したい!』

文面だけを捉え、アニメのキャラ声を出せる器用な人と、DJ読みを中心にと考えていたが、大窓王からの作り手の意図を考えろ!と言う言葉を受け、まず最初に今回の演出担当者から調べてみる。リサーチの結果演出のT氏の素顔が見えてきた。T氏と言えばNTVの数々の報道番組をリニューアルさせてきた敏腕演出家である。バラエティ的な報道番組で高視聴率番組を育て上げて来た。いままでT氏が選んで来たナレーターの癖を見ながら考える。決してアニメ声、DJ読みをだけを求めている訳ではなく、新しい才能あるナレーターを求めている事が伺えた。過去の番組では、あまりナレーションをしていなかった声優を起用して番組が成功していた。

しかしながらこれまでの経験から、作り手たちの、斬新な事を取り入れたい気持ちと、失敗する事への恐怖。結果として保守的になる傾向はよくあるケースである。それらの可能性も視野にいれ、ベルベットのプレーヤーだけでなく、バーズも含め考えられる全てのナレーターからキャスティングを練り直して行った。(後日談だが、文面をそのまま捉え、声優声のサンプルばかり作って来た大手事務所は失笑を買ったとか。ホツ…良かった。危ない危ない)

数百人のボイスサンプルを一斉に聞く。これがどんな事か少し想像して見て下さい。今回の原稿は普通に読んで3分半。これを200人だとすると約12時間。かなりの時間と集中力が必要となってくるのが分かる。では数百有るボイスサンプルの中から、他とは違うと思わせる為にはどうすれば良いのか。そこはBirdsのテクニックでもあるところですが、少しだけ言いますと。

「出だし十秒で掴むサンプル」 収録するナレーターごとに特徴が最大限でるように読みの方向をはっきり打ち出し、選曲も雰囲気をがらりと変えた。音楽で聞き手の想像は何倍にも膨らむのだ。(でも本当は最初、全て同じ曲で全ナレーターのサンプルを取るつもりだったんですけどね 汗)

特徴を絞り込むことは危険に思えるが、数百の中から選ばれるためには必須の戦術なのだ。ほとんどのサンプルはあれもこれも入れることによって自分の特徴を消してしまうことが多いのだ。


こうして収録した極上のボイスサンプルを、後はTV局に提出するだけという時になって。大窓王からちょっと待った!の声が。ここで、大窓王が魔法(企業秘密です。書きたいけど書けません~)をかける。

う~んでも少しだけでも聞きたいと言う、声が聞こえてきそうなので、ほんの、ほんのさわりだけ(大窓王に怒られるかも。。。汗)魔法とは、相手がサンプルを受け取った瞬間に、違いが分かるかどうかなんです。魔法がかかったサンプルたちを眺めていると、収録前あんなに不安だった思いが、もうこれで決まらない訳がない!と思える最高の気持ちになっていました。後はサンプルを持って提出しに行くだけです。

次回はボイスサンプル提出した後、合格が決まる迄に迫ってみます。 実はサンプルオーディションの後、現場での2次オーデーションへと展開して行くのでした。
風雲急を告げるナレーター業界、その結末とは!!

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